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【公認会計士/税理士による税制講座】#4 インド日本人駐在員給与に関する税務上 の留意点に関する続報

インド日本人駐在員給与に関する税務上 の留意点に関する続報

Q:最近GST税務当局のコミッショナー名で駐在員給与の求償取引に関する最高裁判例に基づく質問状が届いている日系企業があるか? 

インド全土で日系企業は1,500社あり、デリーNCR700社程の日系企業があると推定されますが、少なくとも100社以上の日系企業に質問状が届いてると推定されます。 また本日現在の情報(動画撮影日2022年11月21日時点)では、インド全土の日系企業ではなく主として Haryana, Maharashutraの日系企業に届いているようです 。

Q:どのような日系企業がGST 税務当局からの質問状が届いている、もしくは将来届く可能性があるか?

前提①:インド現地法人が海外のグループ会社から駐在員を出向契約に基づき受入れている

前提②: インド駐在員への給与の一部が日本本社等のグループ会社から支払われている

前提③: 日本本社等のグループ会社等から当該金額をインド子会社へ求償請求を行っている

これらが前提となり、当該請求取引が人材供給役務提供サービス (Manpower Recruitment or Supply Agent Service )と見做され GST が課税されるリスクが発生しています。 

Q:全ての日系企業が質問状を受け取るリスクがあるわけではない?

今回の質問状はGS 税務当局が何らかの基準に基づき発送しているため、Haryana、Maharashtraの全ての日系企業が受け取る可能があります。 

Q:Haryana, Maharashtraの全ての日系企業がGSTを課税されるリスクがあるか? 

質問状を受け取った日系企業であっても、日本親会社等が支払っているインド国外の銀行口座への給与額をインド子会社に求償取引を行っていない等の会社は、今回の騒動に最終的には巻き込まれません 。

Q:今回の騒動からの解決策としてはどのようなものあるか? 

インドでは税務訴訟となった場合は少なくとも5、6年から10年を超えることも予測され、最高裁判例がでるまで15年かかるケースも過去にはあったため、可能であるならば税務訴訟による解決は避けた方が無難です。

税務訴訟以外での解決策としては、質問状の内容を過去分と将来分に区分して考える必要があります。

まず過去分ですが、 GST税務当局からの質問状が届いていない日系企業は現時点で何らかのアクションを取る必要がありませんが、 質問状が届いている日系企業は何らか対応する必要があります。

しかしながら2017年からのGST納税を求められる可能性があり、納税すると意思決定した場合であっても巨額となり対応出来ない会社もあるかと思われます。

よって、ケースバイケースによりGST税務当局への対応が変わると思われます。

将来分ですが、 今回のポイントは国をまたぐ日本からインドへの送金が発生している ところとなります。

よってインド駐在員の給与支払いスキームを変更し、従来日本本社等のグループ会社から支払われていた日本払い等の給与支払いを止め、インド駐在員の給与 100%をインド子会社から駐在員のインド銀行口座、及び日本の銀行口座に直接送金することにより当該論点から解放されます。

インドから日本等の駐在員銀行口座へ送金するには、インド外為法の規制のもと行われる必要があるため、毎月インドの送金銀行へ提出する書類 (インド勅許会計士の証明書等も含む) が膨大で事務手続きが煩雑となるデメリットが新たに発生致しますが、一番シンプルな解決策となります。

また別の解決策として従来通り駐在員のインド銀行口座への送金はインド子会社から行い、日本の銀行口座への送金は日本本社から行う点は変更せず、インド子会社と日本親会社間で新たに人材供給役務提供サービス契約を締結し、インド子会社でGSTをリバースチ ャージで納税する方法も考えられます。

今回の論点であるGSTは間接税であるため (日本国の消費税と同等) 売上がついている一般的なインド子会社であれば、当該GST Creditとして利用可能なため、GSTをリバースチ ャージで納税してもコストとなるキャッシュフローは増えません。すなわち、 日本国消費税法でいう仕入税額控除が利用可能となるためコスト増にはなりません。

しかしながらこの方法は日本本社で当該取引において日本国税務署において損金否認される恐れもあるため課税所得が増えるリスクもあります。

よって、可能であるならば事前に管轄の税務署さんと協議された方がいいかと思います。

さらに当該取引は日本国、インド共和国ともに移転価格税制上の取引となるためマークア ップ等によりALPに基づく一定の利益を日本本社で計上する必要もあるので要注意です。
※TDSの処理も必要となります。

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