インド労働法改革
インドの労働法制は非常に複雑でわかりづらく、
・労働法の数自体が非常に多い
・どの事案にどの法律が適用されるかわかりづらい
という問題が存在していました。
このことを受けて、インド政府は長年に渡って労働法改革を推し進めていましたが、ついに2020年9月に改革の核となる『Labour Code』が成立しました。
この記事では、2020年9月に成立した労働法改革によって駐在員が注意すべき3つのポイントについて解説します。
駐在員が注意すべきポイント①
今回の労働法改革で29の法令が4つのLabour Codeに統合されました。
その内、
2.The Industrial Relations Code, 2020(IR Code)
主に、(a)労働組合、(b)解雇を含む産業紛争、(c)産業施設に適用される就業規則に関する事項が規定
3. The Code on Social Security, 2020(SS Code)
主に、(a)EPFやESIといった社会福祉に関する事項、(b)法定退職金や産休休暇給付など労働者の権利に関する事項が規定
4. The Code on Wage, 2019 (Wage Code)
主に、賃金の支払いに関するルールが規定
これらに関しては大きな改正はなく、従前の対応でもあまり問題はありません。
一方、
1. The Occupational Safety, Health and Working Conditions Code, 2020 (OSH Code)
主に、 (a)使用者が果たすべき事業所の安全・衛生維持義務、(b)労働条件に関する事項が規定
こちらに関しては大きな変更があるので注意が必要となります。
駐在員が注意すべきポイント②
変更があったOSH Codeではこれまで存在しなかった使用者の義務が数多く認められていますが、大きく分けて3つの義務が使用者に追加で認められました。
1.健康診断の実施
2.福祉施設の設置
3.労務情報の記録・報告
駐在員が注意すべきポイント③
【請負労働に関する変更点】
・請負労働に関する法制は請負労働者を50名以上雇用している企業にのみ適用されます。
・請負労働者のコア・アクティビティへの従事は原則禁止されます。
※例外的に許可される場合あり
請負労働者を50名以上雇用している企業は、この変更点に対する影響がないかどうかのチェックをする必要があります。ご注意ください。